小原 依子 コハラ ヨリコ
Kohara Yoriko
心理学部 心理学科
教授
専門分野
臨床心理学 芸術療法(音楽療法)
研究テーマ
音楽療法の臨床心理・生理学的研究
研究キーワード
臨床心理学 / 音楽療法 / リハビリテーション / 効果判定 / 評価尺度
研究の概要
私は、生涯発達心理学の視座にたち、思春期・青年期以降の「心とからだの健康」について考えてきました。大学生の頃から精神科医療での心理臨床を経験し、その関わりを通して精神病理に深く関心をもちました。同時に、身体障害、高齢者領域での実践活動を行い、福祉の中での支援の在り方を模索しました。さらに予備校や大学という教育環境の中での青年期臨床に携わり、これらの実践経験を積み重ねながら、私自身の「臨床心理学」を問い続け追究してきたように思います。やはり重要なのは、その人自身の内面の表出、自己表現そして自己実現であると感じています。そのための実践的なアプローチとして、カウンセリングや心理療法の技法を探究し、中でも芸術療法、特に音楽療法についての臨床研究を続けています。
音楽には生理的・心理的・社会的働きがあるとされ、その効果を探るために、精神医学の研究室に入り、大学院生時代は気づけば10年くらい心理学実験室で音楽刺激による生体反応を捉える研究に没頭していました。脳波、呼吸、心拍、血圧、皮膚温などを含むポリグラフ実験です。そして音楽のもつ社会的働きについては、集団力動や集団精神療法からの分析も行ってきました。これらの研究を通して、音楽療法の効果ついての科学的検証のためには臨床実践における統一した評価指標の開発が課題であると考え、兵庫県推進事業の一環で共同研究体制を立ち上げ、効果判定のための尺度開発に取り組んできました。現在はリハビリテーション病院において、多職種連携の中での音楽療法について、主に注意障害やパーキンソン病の症状を対象とした神経学的音楽療法の有効な技法・アプローチの研究を進めています。COVID-19の到来を受け、枠組みに制約のある中でも治療を続けていくための、セッション構造や実践プログラムについて、その技法開発にも着手しています。
著書・論文等
小原依子 (2019). 「人間として、セラピストとして、研究者として」と「事例研究」 音楽療法臨床ハンドブック-対象者理解から事例の発表まで-. (pp.5-8) 日本音楽療法学会
渡邊幸子・小原依子・梶田美奈子・大串智恵・河村美帆・奥田志保・白川雅之・司馬良一 (2020). パーキンソン病患者に対する入院リハビリテーションにおける音楽療法の有効性(第Ⅲ報)~歌唱に嗜好性を反映したプログラムによる心理的効果の検討~, 近畿音楽療法学会誌, Vol.18, 41-48
梶田美奈子・小原依子・渡邊幸子・大串智恵・河村美帆・奥田志保(2023). 小字症を有するパーキンソン病患者に「フォルメン線描」を導入した音楽療法の有効性についての一考察~コロナ禍における〈歌わないプログラム〉の検討~, 近畿音楽療法学会誌, Vol.21, 11-17
主な担当授業
臨床心理学概論/カウンセリング
シラバス
リンク
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