村田 路人 ムラタ ミチヒト

Michihito Murata

文学部 史学科

教授

専門分野

日本近世史

研究テーマ

近世支配の特質

研究キーワード

近世支配/広域支配/触/触留帳/大坂町奉行/近世治水/国役普請/堤外地政策/種痘/緒方洪庵

研究の概要

私のこれまでの研究は、①近世支配論、②近世治水史研究、③江戸幕府上方支配機構論、④幕末期医療行政研究、の4つにまとめることができる。①近世支配論については、かつての近世支配研究が支配の内容・性格の分析に重点を置いていたのに対し、私は、「支配の実現メカニズム」、すなわち「支配はどのような過程を経て実現・完結するのか」という新たな分析視角・方法により研究を行い、従来とは異なる近世支配像を打ち出した。為政者(幕府や領主)と、彼らが支配していた村々との間に介在していた「支配の請負人」(用聞・用達などといわれる)を発見し、武士でも百姓でもない、町人身分の中間介在者の存在によって支配が円滑に行われていたことを明らかにしたのはその一例である。また、為政者が発した触状は、支配下の村々の間を回達されたが、その回達原則や、回達の途中、各村で触がどのように書き留められたのかを解明した研究も、同様の分析視角・方法によるものである。 ②近世治水史研究については、まず、幕府が主導し、数ヵ国にわたる広域的な人足役の賦課により、個別領主が対応できない大規模堤防工事などを行う国役普請の実態を明らかにし、近世国家支配の特質を解明する手がかりとした。また、堤外地政策という新たな概念を用い、長らく停滞していた近世治水史研究に新たな方向性を示した。すなわち、幕府は18世紀初期までは水害の原因となる堤外地(堤防と堤防に挟まれた地)開発を抑制していたが、享保期より開発優先主義に転じ、堤防強化を基本とする水害対策をとるようになったことを明らかにした。③江戸幕府上方支配機構論については、幕府の遠国奉行である京都町奉行や大坂町奉行などの幕府諸機関の権限・役割やそれら諸機関相互の関係を、元禄期や享保期の幕政改革と関連させつつ、また、京都町奉行の上方八ヵ国代官支配という独自の視角を用いつつ明らかにした。④幕末期医療行政研究については、幕末期の大坂において緒方洪庵らが始めた種痘事業や、安政期に大坂や大坂周辺農村で流行したコレラに対する対策を取り上げ、幕府(大坂町奉行所)がこれらにどのように関わったのかを検討した。その結果、慶応3年(1867)には大坂町奉行所が摂津・河内・和泉・播磨4ヵ国にわたる広域支配権に基づく種痘行政を行うようになり、近代的医療行政につながる動きが見られることが明らかになった。

著書・論文等

主な担当授業

日本近世史/入門演習/古文書講読Ⅰ/史学演習Ⅰ~Ⅴ/日本史特殊講義Ⅵ

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