泉 妙子 イズミ タエコ

Taeko Izumi

健康福祉学部 社会福祉学科

教授

専門分野

介護福祉学

研究テーマ

介護の暗黙知

研究キーワード

Tacit knowledge/resilience,/empowerment

研究の概要

介護の可視化の過程を介護の職務エンパワメントとして「専門性」「評価」に位置付ける研究をテーマとしている。「暗黙知」はハンガリーのマイケル・ポラニーが提唱した概念である。M.Polanyiは、その著書「暗黙知の次元」の中で、「私たちは言葉にできるより多くのことを知ることができる」と述べている(=高橋2003:18)。言葉では説明できないが、理解して使っている知識があることに気付き、「暗黙知」と名付けた。知識の背後には必ず“暗黙の次元の「知る」という動作がある”ということを示した概念である。この暗黙知を生活の場面に視点を向けて考えてみると、やはり言葉の行間や間、脈絡に多くの暗黙知が潜在化していることが予想できる。日本的「知」の方法論の文脈として、生活の中の「介護の暗黙知」は、一人一人の対象者とかかわる中で、直観的理解と分析的理解として「個人の中」にかなり蓄積されているのではないかと推測できる。個人に内在化される経験知は、他者への伝達・移転が困難である。特に形式知は、日本人が不得手とする部分であり、逆に暗黙知の層は深く広いともいえる。ここに間・行間・脈絡に潜む「介護の暗黙知」を可視化し、形式知へ変換すべき大きな課題があるといえる。このように生活場面において介護は可視化しにくく、潜在化された暗黙知の存在によって評価や伝承に課題がある。「介護の暗黙知」は、介護者が実際に関わる日常の経験を通して獲得した知識である。そのため、暗黙知はその人が個別に持つ「経験知」とも言い換えられる。密室になりがちな介護現場において、対象者が亡くなると援助関係が終息し、多くの暗黙知の介護力が言語化できず潜在化されたまま消えている背景が予測できる。潜在化された個別の生活技術は評価しにくい。どのような関わりをすれば満足度が高いケアと言えるのか、ここに介護分野の領域として「見えにくい介護」を「見える化」する大きな課題があるといえる。さらに介護者の暗黙知を可視化する過程は、当事者の暗黙知を形式知化できる力を包含している。人間は静物ではなく、生きている。従って、ケアをするものがなすべきは、様々に変化する環境に対応しながら当事者ニーズを満たす力、潜在化されたレジリエンス能力を表出できる環境づくりも重要である。引用文献:高橋勇夫訳(2003)「暗黙知の次元」ちくま学芸文庫(原書 Michael Polanyi)

著書・論文等

主な担当授業

認知症の理解Ⅰ・Ⅱ/介護の基本Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ/介護過程Ⅳ・Ⅴ

シラバス

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