甲斐 達男 カイ タツオ
Tatsuo Kai
家政学部 管理栄養士養成課程
教授
専門分野
食品衛生学、応用微生物学、分子遺伝学
研究テーマ
新たな抗カビ剤(食品添加物)の探索、製パン用乳酸菌のゲノム解析、低水分発酵法の確立とその有効性が発揮されるメカニズムの解析、嚥下障害発症を予測する音声マーカーの探索、カストラートの歌声および歌唱法の解析
研究キーワード
HACCP/食品添加物/乳酸菌/酵母/ゲノム解析/小麦/パン発酵種/嚥下障害/音声解析/カストラート
研究の概要
1.新たな防黴剤(食品添加物)を、Lactobacillus sanfrancisensisという乳酸菌の一種の培養液から取り出そうとしています。この乳酸菌は、イタリア北部で伝統的に作られていたパネットーネという菓子パンを作る際に用いられていたパン種から見い出されたものです。パネットーネによっては、数か月間もカビが生えずに長持ちするものがありましたので、パン種の中に棲息する微生物がカビを抑制する物質を産生しているのではなかという着想から始めた研究です。ちなみに、このパン種を使った製法は面倒なため、現代のイタリアでは、純粋培養した乳酸菌と併せて、一般の製パン用酵母を併用して現代的な製パン法で作られています。
2.低水分発酵法という新たな手法を用いた製パン方法の確立を目指しています。この手法で使ったパンは、近年になって使われるようになった湯種法による製パン方法に代わるものです。湯種法で作ったパンは、食感がもっちりとしており、ほのかに甘い風香味が高級感を醸し出すため、消費者には大変喜ばれる品質となっています。そのため、個人経営のベーカリーだけでなく、大手のメーカーでの機械製パンも可能であることから、双方で利用されている製法です。欠点として、湯種の発酵管理や設備などの問題があり、広く普及するまでには至っていません。そこで、湯種法よりも簡便で、品質が湯種パンを上回り、かつ、機械製パンも可能な製パン法として低水分発酵法の確立と普及を目指しています。現在の日本の主流となる製パン法ですが、手作りでは直捏法といって風香味の良いパンを作るための製法が用いられます。これは、生地の柔軟性不足のため機械製パンには適用できません。機械製パンでは、パン生地がダメージを受けないよう十分に発酵をとって柔軟性のある生地を得るための中種法が用いられますが、直捏法に比べ風香味が劣ります。
3.高齢化とともに嚥下障害による肺炎発症が問題となります。嚥下障害は、早期に発見できれば発声訓練によって、ある程度、発症を遅らせることができます。そこで、音声解析によって嚥下障害の発症を予測するための研究を行っています。
著書・論文等
主な担当授業
食品衛生学/食品衛生学実験
シラバス
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