山根 千弘 ヤマネ チヒロ

Chihiro Yamane

家政学部 家政学科

教授

専門分野

繊維材料

研究テーマ

再生セルロースの構造解明や応用研究

研究キーワード

セルロース/再生セルロース/ガラス転移/ゴム状態/食品/食品材料

研究の概要

再生セルロースは、木材から取り出したパルプ(セルロース)を一旦溶剤に溶かした後、繊維やフィルムなど様々な形に凝固・沈でんして得たものです。原料が木材なので、森林をきちんと管理してゆけば、決してなくならない持続可能な資源なので、もっと工夫して様々な使い道を見つけることが重要と考えます。現在の使い方の一つとして、衣料用繊維のレーヨンやキュプラ、リヨセルがあります。これらは写真のように光沢があり(レーヨンの語源はRay yarn(光の糸)と言われるくらい)、発色性が良く、さらに柔らかくて滑らかです。それに綿と同じセルロースという物質からできているので吸湿性が高く快適です。このように綿を超える特性を持つ一方で、家庭で洗濯すると、縮むし、著しいしわができ、ドライクリーニングするしかありません。家庭で簡単に洗濯できないものが、綿を超える繊維として広く普及できるわけはないです。
そこで私は、なんで再生セルロースがこんなに水に影響を受けやすいのか、なんで家庭で洗濯するとそんなにしわができるのかを研究しています。もしこれが分かって、再生セルロース繊維が綿と同じような使い勝手になったなら、莫大な市場が開けると思っています。繊維の性質を調べる装置として動的粘弾性測定装置というのがあり、ガラス状態からゴム状態に転移する様子を観察できます。この装置では、普通は繊維の水分率を変えながら測定することはできないのですが、ちょっと工夫して、水分率を変えながら測ってみると、なんと水分率60%以上(水に濡れた状態)で繊維はゴム状態(ふにゃふにゃな状態)になってしまいました。ゴム状態で揉んで、叩いて、押し付けられたら(洗濯と脱水)しわくちゃになってしまうのは当然です。現在水中でもゴム状態にならない方策を検討中です。
一方で、水中でゴム状態になるほど柔らかくなることを利用して、食品への展開を行いました。再生セルロースを構成するセルロースはカロリーがない食物繊維です。いわゆる炭水化物もゼロで、特定の人にセリアック病を引き起こすグルテンもゼロです。オーミケンシ(株)というレーヨンメーカーと共同研究して、ぷるんちゃんという名の食品を開発することができました。飽食の現代にうってつけの食品と思っています。ぷるんちゃんには写真のように麺とお米状のものがありますが、ペーストにしたり、次世代ぷるんちゃんの研究開発もしています。

著書・論文等

主な担当授業

生活材料学/被服管理学/被服管理学実験

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